日本音楽集団
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 2005.5.19. (木) 第179回定期演奏会 名曲選シリーズII

一、竹に同じく(1979年) 池辺晋一郎作曲

笛]西川浩平・越智成人 [笙]真鍋尚之 [篳篥]西原祐二 [龍笛]竹井誠
[尺八]I米澤浩 II加藤秀和 III阪口夕山 IV元永拓 V渡辺淳 VI原郷隆
[鳥笛]I穂積大志 II守啓伊子 III盧慶順 IV島村聖香
[指揮]田村拓男

二、箏四重奏曲(1968年) 長沢勝俊作曲
箏I=熊沢栄利子  箏II=桜井智永  箏III=山田明美  十七絃=城ヶ崎美保

三、日本楽器によるシナウイ(2000年) 朴範薫作曲

[笛]西川浩平・越智成人
[尺八]I米澤浩・阪口夕山 II渡辺淳・原郷隆 III加藤秀和・元永拓
[三味線]山崎千鶴子・守啓伊子 [琵琶]田原順子・首藤久美子
[二十絃箏]I熊沢栄利子・久東寿子・高橋はるな II山田明美・早川智子・彦坂恵美
[十七絃]宮越圭子・丸岡映美・佐藤里美
[打楽器]望月太喜之丞・若月宣宏・多田恵子
[指揮]田村拓男

四、交響譚詩(1943年、日本音楽集団版初演)
 伊福部昭作曲/日本音楽集団版・秋岸寛久編曲

[笛]I西川浩平 II越智成人 [笙]真鍋尚之・三浦礼美(助演) [篳篥]西原祐二
[尺八]I米澤浩・阪口夕山 II竹井誠 III加藤秀和・元永拓 IV渡辺淳・原郷隆
[胡弓]多々良香保里 
[細棹三味線]I杵家七三 II穂積大志 [太棹三味線]工藤哲子
[琵琶]I田原順子 II首藤久美子
[二十絃箏]I熊沢栄利子・三宅礼子 II桜井智永・高橋はるな III早川智子・山田由紀
[十七絃]I宮越圭子・佐藤里美 II久東寿子・丸岡映美
[打楽器]尾崎太一・多田恵子
[指揮]田村拓男

五、郢曲「鬢多々良」(1973年) 伊福部昭作曲

[笛]I西川浩平 II藤舎理生(助演) [能管]越智成人
[笙]真鍋尚之 [篳篥]西原祐二 [龍笛]竹井誠
[筑前琵琶]田原順子 [薩摩琵琶]首藤久美子
[箏]I山田明美 II桜井智永 III三宅礼子 [十七絃]城ヶ崎美保
[打楽器]尾崎太一・望月太喜之丞・盧慶順・島村聖香
[指揮]田村拓男

会場:第一生命ホール(晴海トリトンスクエア)

主催:特定非営利活動法人 日本音楽集団
   NPOトリトン・アーツ・ネットワーク/第一生命ホール

助成:平成17年度文化庁芸術創造活動重点支援事業

 

「交響譚詩」日本音楽集団版の初演によせて   伊福部 昭

 拙作『交響譚詩』は、戦時中の作品で、原作は持ち替え二管編成のオーケストラですが、当時、日本ビクターからSP盤が発売され、又、総譜が出版されたこともあって、以来、種々な編曲が現われました。吹奏楽、マンドリン・オーケストラ等、その他があります。
 就中、近年、野坂恵子、小宮瑞代二方の二十五絃箏高低二面の合奏録音は、原作よりも佳いなどの評にも接し、作曲者としては中々な問題提起と受けとって居ります。
 折りしも、田村拓男氏より今度、新しく日本音楽集団編成で演奏して見たいがどうかとの申出がありました。
 小生は、以前この集団のために作品を書いたことがありますが、その時は、作品の性質上、近世の匂が出ぬようにと、敢えて主力である尺八と三味線を除いたのでしたが、今回は全楽器を使用するとのことで、又、編曲者の秋岸寛久君は東京音大の小生のゼミでよく承知の間柄なので、喜んでこの計画を承諾致しました。どの様な効果が生まれるか小生自身も本日の初演が楽しみです。

又、最后に田村さんがこの集団のために何か一言と云うことでしたので、今更、口幅ったいことですが、自戒を含めて申し上げると、現代の音楽世界は、自己顕示欲とモダニズムの毒氣に当って何か少し強張ったものとなりがちですが、これを超えて、きっと伸びやかな自由闊達な境地に至ることが望ましいと考えています。
 若い皆様は、この轍を踏まぬよう心から希って止みません。


「交響譚詩」の編曲にあたって   秋岸寛久
オーケストラのために書かれた音楽を音楽集団で、という試みは、特にオーケストラの機能が重要視されるこの作品のような場合、たいへん無謀なことではありますが、この曲に用いられている旋法や旋律自体が我々の伝統楽器にとって全く無理のないものだったので、「音楽集団版」も原曲とは違ったおもしろさを持った新たな作品となりうるのではないかと思っています。
 今回のアレンジにあたって、伊福部先生のご自宅に伺って細部にわたってアドヴァイスをいただいてきました。私が「伊福部ゼミ」に参加させていただいていた20年前と少しも変わらない明晰さとユーモアあふれるお話にあっという間のひとときを過ごさせていただき、たいへん感謝しております。熱のこもった演奏で音楽集団のメンバーが私に代わってご恩返しをしてくれることと思います。ありがとうございました。


胸躍る「交響譚詩」日本音楽集団版初演!
「名曲選II」〜アジア友好へのメッセージ〜   田村拓男

多彩な名曲選IIとなりました。何の脈絡もないとお感じの方々に、この際敢えて「日本の楽器たちが奏でるアジア友好へのメッセージ」と謳わせて頂きましょう。
日本や東南アジアを中心に分布する竹、その竹で作られた笛たちの悠久の響き「竹に同じく」。今や高校生ら若い芽の愛奏曲ともなっている「箏四重奏曲」。韓国音楽の元祖を日本楽器にのせた日韓伝統の一体化を思わせる「シナウイ」。そして伊福部作品2曲。郢曲「鬢多々良」(1972年)は、平安中期にわが国に興った音楽の一形態で、その旋法には日本、中国、インドなどとの混淆があったといわれています。1943年の「交響譚詩」は、1934年に来日したロシア生まれの作曲家チェレプニンに短期間ながらレッスンを受けたあとの作品です。アイヌの子どもたちと遊んで育った伊福部先生には、アイヌのほか北方民族、大陸、ロシアなど汎アジアにわたる民族的感性が備わっていると察せられます。私たちが授かった名曲を通じて、アジアの同胞に友好のメッセージを贈りたいと思います。
伊福部先生のご指導と秋岸さんの奮闘に感謝しつつ…。

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