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 第185回定期演奏会 モニターレポート

■モニターレポート(M.K.氏)

貴団第185回定期演奏会(昼の部)を拝聴し、鑑賞レポートを以下に記します。

弟185回の定期演奏会は「粋」を感じました。定演、良かったです。
また三人の作曲家の競作(共作?)という劇場音楽の試みも刺激的でした。

ただし自分の評価に二面性があったと思いますので、以下ご参考までに。

I.積極的評価

音楽とは、単に音楽だけで成り立つものではありません。演奏者はもちろん表現する楽器・表現する場所(雰囲気)・機材・照明・温度湿度・オーディエンスのレベルなどすべてが通常のコンサートでは重要なファクターだと思います。
「呑気布袋」では能楽者の参加を得て音楽集団音楽の奥行きの深さと幅の広さを再認識できました。
絵画も美術も音楽も、果てはお料理などまで、その表現巧拙の基本は各種要素の配合・バランスの妙味の巧拙だと思います。
例えば、お玉じゃくしで大キャンバスに見事な絵画を描くことが出来る画家たる作曲家。
人間の感性は、視覚も聴覚も味覚も触覚も、本来そのように明確に区別されるものではないでしょう。あくまでも後人が便宜的に区分・命名したに過ぎません。
芸術とは本来ジャンルの区別のない総合表現であり、如何に異なるように見えるジャンルで異質の芸術を表現出来るかが、その芸術家の力量だと思います。自分の得意な感性表現で、五感の中の異なる領域の感性表現をし、共感支持を受けることだと、言い換えても良いかもしれません。
その意味では、今回のミュージカル企画は、音楽集団の新境地開拓として大いに共鳴できるものでした。

II.消極的評価
音楽集団のサウンドのみを求めて定演に足を運んだ聴衆は、今回企画はいささか裏切られた感を否めないでしょう。
終始、舞台音楽に徹したため、純然たる集団サウンドを期待して来場した人や、初めて日本音楽集団の定期演奏会を聞きに来た人にはやや期待はずれで消化不良の点もあったのではないでしょうか。
このような企画は、定期演奏会以外の特別・番外企画として、また、音楽集団の新境地開拓の一方向具現提案としての企画コンサートとして提示すべきではないでしょうか?


III.その他気づきの列挙

・前列聴衆(個人)のマナーの悪さ
前席客(16−8)のマナーの悪さに閉口した。
多動・私語・ペットボトル飲料。ステージに集中できず、休憩以降はこちらが空席へ移動した。
・前半、上演中の出入りが目立った。段の変わり目での案内をすべきではないか?
序の段:2階席1名。1階席4名。
二段目:1階席1名。
・開演冒頭、田村先生の入場時、合唱隊(1階ステージ)の起立タイミングがまったく統制が取れていなくて
美しくなかった。他は全て完璧だったので画竜点睛を欠くの感があった。

素晴らしい総合芸術とめぐり合い、耳と感性とハートの洗濯でさっぱりとし、本当に久々、心豊かな帰路でした。
また、言葉と動作と音楽と照明という、総合舞台芸術の持つ魅力を再認識させていただきました。
ありがとうございました。
以  上

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