日本音楽集団
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 2009.9.8.(火)
第196回定期演奏会 〜日本音楽集団創立45周年記念シリーズ〜
「邦楽器アンサンブルの展望U」

2008年1月に「竹桐U/川崎」・「恋〜こひうた〜歌/尾形」・「邦楽器のためのインプロヴィゼーション/秋岸」・「源氏三綴/福嶋」を発表した『邦楽器アンサンブルの展望』の第2回目です。
音楽集団が創立以来、定期演奏会を主軸に継続して来た「邦楽界への提言」を、このシリーズではさらに一歩推し進め、初演した作品の「箏・三味線・尺八譜」や「ライブCD」の出版も行いました。
又、「夏の講習会」ではいくつかの作品を取り上げて広く愛好家の方々に紹介する等、音楽集団の提言は多面的に展開して来ています。『邦楽器アンサンブル』を『展望』して将来への「提言」を行う新シリーズの第2回、ぜひご来場下さい。(尚、当日の会場にて既刊縦譜とCDを販売いたします。)

邦楽器アンサンブルの展望U

○「螺旋」― 邦楽器アンサンブルのために ― /秋岸寛久作曲
【委嘱初演】

○「恋−こひうた−歌」夏の章 尺八・箏・十七絃のための /尾形敏幸作曲
【委嘱初演】
   尺八 : 米澤浩
   箏 : 熊沢栄利子
   十七絃 : 宮越圭子

○邦楽七重奏のための“坊っちゃん・考” 瀬戸〜無鉄砲〜マドンナ〜事件〜清へ /福嶋頼秀作曲
【委嘱初演】

○箏四重奏 ― みみらくの島 ― /高橋久美子作曲
【委嘱初演】
   箏T : 桜井智永
   箏U : 田村法子
   箏V : 久本桂子
   十七絃 : 城ヶ崎美保

○邦楽合奏のための「疾風怒濤」 /川崎絵都夫作曲
【委嘱初演】
   指揮 : 田村拓男

2009年9月8日[火] 午後7:00開演(午後6:30開場)

会場 : 津田ホール (JR千駄ケ谷駅下車)
主催 : 特定非営利活動法人日本音楽集団
助成 : 平成21年度文化庁芸術創造活動重点支援事業
協賛 : 津田ホール
                                   
入場料:全席指定
     [前売] A5,000円 B4,000円 C3,000円
     [当日] A5,500円 B4,500円 C3,500円          
チケット予約:
  日本音楽集団 TEL:03-3378-4741 FAX:03-3376-2033 E-mail:【お問い合わせ】
  電子チケットぴあ pia.jp/t 0570-02-9999 Pコード 325-809
ヤングシート : 25歳以下の方にB,C席を割安料金で。
前日午前中までに日本音楽集団事務所へご連絡ください。

調和の極みへ

 1年半前「邦楽器アンサンブルの展望」シリーズをスタートさせ、第2回目の今回は団員の作曲家4人に加え、高橋久美子さんも趣旨に賛同して下さって全5曲が委嘱初演作品での開催となりました。
 音楽集団が作品発表を通して「アンサンブルへの提言」も行って来たことは、CD「邦楽器アンサンブルの展望T」の巻頭言にも触れましたが、アンサンブルの魅力・醍醐味の第一には「調和する事による一体感」を先ず挙げたいと思います。
 これは色々なジャンルで求められているチークワークでも同様でしょう。
 7年ほど前、古民家移築のエキスパート塚田一敏氏と知り合い、氏の手掛けた古民家を拝見しに小淵沢まで出掛けた事があります。梁や棟等は200年以上も前の古民家のものでありながら、そこには現代の技術と感性を結集した「作品」が建っていました。
 左官の親方や建具の親方の話も伺いましたが、大変興味深かったのは「出したい壁の色が出なかったので、北海道まで土を探しに行った。」と言う話でした。それぞれのエキスパートが納得行くまで仕事をし、それが棟梁塚田氏の元に調和を持って結集し、現代の家として見事な「作品」となっているのです。
 伝統を踏まえ、現代の感性を注ぎ込んで新たな提言をして行く音楽集団の活動にも重なり、感服した記憶があります。
 9月8日(火)、5人の作曲家と演奏者による新たな調和が津田ホールを満たす今回の定期に、一人でも多くのお客様にご来場頂きたいと願っております。

「邦楽器アンサンブルの展望」プロデューサー 米澤 浩

「螺旋」― 邦楽器アンサンブルのために ― 秋岸寛久作曲

 いつも「演奏することに喜びが感じられる曲」を意識して作曲しています。特にアンサンブルにおいてはその要素はたいへん重要であり、「螺旋」も、演奏者が音楽をすることの楽しさを聞き手と共有し、その充足感で空間を満たすことができるような作品を目指しております。気軽に楽しむことができ、なおかつ弦楽四重奏のような高度なアンサンブルも追求できる作品ができれば、理想的ですね。鋭意制作中です。

秋岸 寛久(あきぎし ひろひさ) 
横浜生まれ。東京音楽大学作曲科卒。助川敏弥、浦田健次郎、三木稔の各氏に師事。同大学研究科を修了後、日本音楽集団に入団。邦楽器のための作品も数多い。日本フィル九州公演、横浜国大グリークラブ、NHK邦楽技能者育成会、オーストリア、シュライニング音楽祭、オーケストラ・アジア等からの委嘱や、市川猿之助スーパー歌舞伎「オオクニヌシ」の音楽、NHK伝統和楽団の編曲等を手がける。

「恋−こひうた−歌」夏の章 尺八・箏・十七絃のための 尾形敏幸作曲

 前作「春の章」から一年を経た。できるだけ多くの人に愛され、再演の機会にも恵まれるよう、旋律主体の平明な音楽を書きたいと思う。連作であるから、当然のことながら各曲に旋律モチーフ、和声モチーフ、リズムモチーフに相関関係がある。あとは曲想においての相反関係が加わればベスト。
 「春」では明るさよりも春愁がテーマだった。さて「夏」はどう表すべきか。
 アンケート アート という領域もあるようだが・・・。

尾形 敏幸(おがた としゆき)
東京学芸大学大学院修了。作曲を甲斐説宗、三善晃の各氏に、大学院在学中に笹川賞、現朝日作曲賞等を受賞。平成10年には無伴奏混声合唱のための「上代歌謡抄」により、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。NHK、全日本合唱連盟主催の合唱コンクール、東京都民合唱コンクール等の審査員を歴任。
現在、日本現代音楽協会会員、日本音楽集団作曲家団員。
日本音楽集団初演作品に「豊穣なる国のはてで」「寓懐あまつかぜ」等がある。

邦楽七重奏のための“坊っちゃん・考”
 瀬戸〜無鉄砲〜マドンナ〜事件〜清へ 福嶋頼秀作曲

 きわめて特徴的なキャラクターを持つ7つの楽器たちは、時にぶつかりあい、時に融和する…その様はまるで、漱石の小説『坊っちゃん』の個性豊かな登場人物たちのよう。
完璧ではないが愛すべき楽器たちの奮闘ぶりを、大きな音楽的持続力を伴いつつ、ぜひともお伝えしたいと思う。
 日本文学をモチーフにした日本音楽集団委嘱の作品は3作目−芭蕉の四季の俳句を歌う『もう一つの軽みの曲』、紫式部の物語世界を描いた『源氏三綴』、そして本作品をご期待ください!

福嶋頼秀(ふくしま よりひで) 
1967年生、慶應義塾大学法学部卒。邦楽器のための作曲・編曲を多数手掛ける。
東京フィル、東京都響、仙台フィル、京都市響といった国内主要オーケストラからの依頼も多数。日本を代表する指揮者・ソリスト・ポップス系アーティストらが演奏している他、2003年にはチョン・ミョンフン監修指揮のコンサートの構成編曲を担当しDVD化される。
土曜ワイド劇場、月曜ドラマスペシャル、舞台などの劇伴音楽も多数手掛ける。

箏四重奏 ― みみらくの島 ― 高橋久美子作曲

 「五島列島の三井楽(ミミラク)の島へ行けば、亡き人の顔を見ることが出来る」という伝承があり、それは蜻蛉日記や万葉集にも詠まれている。
 つまり死者と生者の行き交う場所が「みみらくの島」なのである。
 この箏四重奏では各演奏者が魂柱の役割を担い、それぞれの旋律が絶え間なく交差し、時には一体化しながら、あの世ともこの世とも言えない第二の世界「みみらくの島」がステージ上で展開されればと願っている。

高橋久美子(たかはし くみこ) 
武蔵野音楽大学音楽教育学科卒業。ピアノ専攻。
クラシック、邦楽、舞台,映像音楽等、ジャンルを超えた作曲活動を国内外で行っている。作曲を田辺恒弥氏に師事。日本歌曲振興会会員、国際交流日本馬頭琴協会会員。
http://www.geocities.jp/ktittj/

邦楽合奏のための「疾風怒濤」 川崎絵都夫作曲

 邦楽器による大合奏の魅力を大いに花開かせる曲として作曲。弾いては「ダイナミズムと繊細さの弾き分け」、聴いては「ワクワク感と心に染みいる現代の叙情の対比」を存分に楽しめる曲です。

川崎絵都夫(かわさき えつお) 
作曲家。1959年東京生まれ。魚座。A型。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業後、オーケストレーターとして活躍。並行して邦楽器、合唱、室内楽などの委嘱作品発表を続けている。
文学座・新国立劇場を始めとした舞台音楽も多数。邦楽合奏作品は親しみ易い作風で広く演奏されている。日本作曲家協議会会員。主な邦楽作品「花織」「蒼き狼の夢」「夏夢三景」「竹桐之賦」「梁塵今様」「尺八三重奏曲」

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