日本音楽集団
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夢見心地の3日間 〜2008年度・日本音楽集団夏期合奏講習会に参加して〜

◆関邦連
 1969年に大阪の大学で邦楽クラブに入部した私にとって、日本音楽集団は、あこがれの存在でした。
日頃の練習では尺八の音を出すことに四苦八苦していたのですが、夜になるとお酒を飲んだ先輩から「流派、家元制度にとらわれてはならない。」などと聞かされていました。そして、各大学が集まった関西学生邦楽連盟で、合同練習やコンクールを企画するとともに、「音楽集団を大阪へ呼ぼう。」ということになりました。
関邦連の熱意が伝わったのでしょうか、コンサートは実現しました。会場は某大学の体育館でした。当日の演奏が素晴らしかったのはもちろんですが、ミーハーな私は、目前で演奏する、あこがれの横山勝也、野坂恵子の姿に見とれていました。
そのうち、我がクラブの部室に「子供のための組曲」第2章のロツレチ譜が出現し、何度も吹いていました。

◆即断即決
 そんな私が、久しぶりに音楽集団のホームページを見たとき、夏期合奏講習会の案内が掲載されていました。そして、前年の「受講者レポート」を読むと、私と同世代と思われる方が、「来たれ団塊!かつて、学生邦楽に明け暮れた団塊世代の方々も定年が近づき、もう一度邦楽を!と情熱をたぎらせておられるのではないだろうか。」と、私に呼びかけていたのです。
しかも、縦譜が公刊され、事前に講習曲を収録したCDを購入できるとのこと。正に私のための企画だ!と思いこんだ私は、そのまま、申し込みフォームに必要事項を入力していました。
後悔先に立たず
 ところが、楽譜とCDが届いてビビりました。「春の一日」は長沢メロディーを楽譜で追うことができるのですが、「邦楽器のためのインプロビゼーション」(秋岸寛久作曲)と「源氏三綴」(福嶋頼秀作曲)は、リズムが複雑で速く、音の動きが斬新で、CDを聞いても楽譜を見失ってしまう部分があるのです。それに、音楽集団の曲は7孔尺八を前提としているのに、私は5孔尺八で、指の動きがついていけないのです。
 「しまった!えらい講習に申し込んでしまった!」と気づきました。音楽集団のファンであることと、自分が吹くということは別次元だったのです。
でも、今更キャンセルもできないし、他の参加者にまぎれて雰囲気を楽しむだけでも良いじゃないか、と開き直ることにしました。

◆少数精鋭
 尺八の参加者は、初日:5人、2日目:3人、3日目:6人と少数。大学生あり、グループを結成して活躍中の人ありで、私が最年長でした。
パート練習では、講師が個々人の無意識の癖なども聞き分けて、個人レッスンなみのアドバイス。そして、4分音符系から8分音符系への移り方、2拍での三連符の数え方、スラーの掛かった部分と掛かっていない部分との吹き方の違いetc. 新たなアドバイスに、目からウロコの連続でした。

◆合奏練習の醍醐味
 音楽集団のファンは、小編成の曲を待ち望んでいる人が多いと思います。なぜなら、大編成の曲は、打楽器や琵琶などの奏者を見つけ難いのと、適切な指揮者を確保できないため、演奏できる可能性がほとんどないからです。
 その点、午後からの合奏練習は、作曲者または田村代表の指揮の下、全てのパートが完全に揃い、各パートには講師の団員が付き添っているのですから、こんな恵まれた機会は他にはありません。いろんな楽器の音が重なってクレッシェンドで膨らんでくると、合奏の醍醐味に浸って、夢見心地です。
 ところが、指揮者からは、何度もダメ出しあり、いろんな注文がつくのです。他の楽器への注文であっても、指揮者のアドバイスでその部分の演奏がどんどん良くなっていくことが、我が事のように楽しめました。
イメージを共有すれば表情が生まれる
 私なりの理解で恐縮ですが、指揮者からの注文・アドバイスの多くは、演奏に表情を付けることだったと思います。指揮者が、その部分での、そのパートの役割をイメージとして演奏者に伝えて、演奏者がそのイメージを描いて音を発すると、演奏に表情が付いてくるように思いました。全員でイメージを共有できたときに表情が豊かな演奏が生まれることを体感することができました。

◆ミニコンサート
 6時に合奏練習が終わると、ミニコンサートです。まず、その日に練習した合奏曲が、あらためて団員により演奏されます。その後、その日の講習曲の作曲者の曲が続きます。長沢デーには、箏四重奏曲、三味線協奏曲が演奏され、なんとも贅沢なコンサートでした。秋岸デーと、福嶋デーには、お二人の編曲による集団の軽妙な一面が披露され、三絃が活躍する「剣の舞」や、桜坂(福山雅治)〜夜桜お七(坂本冬美)の「桜メドレー」で盛り上がり、熟年世代を喜ばせる歌謡曲メドレーで「与作」が出てくると、客席の団員から「ヘイヘイホー」の声が掛かり、いずれも和やかなフィナーレとなりました。

◆懇親会
 ミニコンサートの後は、テーブルに飲み物とおつまみを並べた「懇親会」、それから2次会?と続いたようなのですが、私はいずれも欠席で、皆さんに盛り上がりをお伝えすることができません。
私の父親(89歳)は、東京で兄夫婦の世話になっているので、次男の私としては、上京の機会には、一緒に食事をすることにしていたのです。

◆長沢先生を偲んで
 大阪へ帰る新幹線では、購入した「長沢勝俊〜音に命を吹き込む・・長沢音楽のすべて」を読みました。長沢音楽の背景が語られ、作品一覧とともにLPレコードの写真なども掲載されており、私にとっては学生時代を思い出す懐かしいひとときで、楽しかった3日間の講習会の静かなエピローグとなりました。

武林正実(大阪府在住 58才B型)



『日本音楽集団夏期合奏講習会 2008』 〜2008年度・日本音楽集団夏期合奏講習会に参加して〜

 私は、友人に誘われ初参加させていただきました。
 魅力は、午前中は各パート練習、午後から合奏練習です。
 今まで、作曲者や演奏家の講習を数えきれない程受けましたが、いつも消化不良で何か物足りないのです。私は小さい社中をもっていますので、次世代に続けてもらうには、邦楽だから…って考え方をおもちの方はそれで良いと思いますが、私は、楽器としてとらえ、人間の喜怒哀楽や風景を曲の中にどう表現すれば…その為には、演奏のコツ、フレーズの歌い方、難しいリズムの取り方、をもっと勉強しなければいけない!と日頃思っていました。そう思っている私を裏切らない充実した3日間の講習会でした。
 集団の先生方のミニコンサートも聴け、懇親会ではいろいろお話も出来、私の中の引き出しに入れました。生徒達の指導と私の演奏に生かしたいと思います。
とても楽しかったのですが、 忙しさにかまけて練習不足ですみませんでした。でも、ご親切なご指導いただきありがとうございます。
 また来年参加できれと思っています。その時はまたよろしくお願い致します。

猪名川文三与(広島県在住)

 


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