日本音楽集団
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2009年度・日本音楽集団夏期合奏講習会に参加して

 『日本音楽集団 夏期合奏講習会2009』に参加してきました。
参加する家内に、「それは良いことだね〜。」と話していたら、どこでどうなったのか、私も参加することになっていました。
 音楽集団の演奏は、定期・地方公演に何度も足を運んだり、またCDも何枚か聞いたりと、私自身がファンの1人でした。

 私自身、尺八を始めて30数年経ちますが、集団の音楽は、我々の次元を超えた所で存在する音楽だと思っていました。今までも「今度この曲を勉強するの。」と家内に見せられた楽譜(なぜか尺八譜も用意されていました。。。)は、とても手に負える代物ではなく、演奏は全て拒否。聞くだけでした。「いい曲だね。」の一言で通り過ごしてきていました。
 ひょんな事から今回参加させて頂くとのことで、楽譜・音源を手配し、開けて見てみて、ギョッ!?『邦楽器のためのコンポジション』。何だこれは!?楽しい曲ではあるが、尺八の最初(ファンファーレだそうですが、、、)手が、指が回りません。ダメだこりゃ。。。『秋の一日』。長沢節が随所に出てくる名曲。キレイだ。でも、何ともこの楽譜ではいかにも演奏し辛い。ということで自分用の楽譜を制作し、とりあえず練習、練習と取り組んでいました。
 しかし、8月1日が近づくにつれ、憂鬱半分、ジレンマから来るイライラ半分の日々。申し込むべきじゃなかったと、後悔の念が何度も頭をよぎりました。しかし、「そうだ、見学とう手もある!」と、自分自身に言い訳をしながら、参加することを本当に楽しみにしている家内と一緒に、初日の神田スタジオを訪れました。受付を済ませて、尺八の練習場へ。そこには講師の米澤先生、原郷先生、竹井先生が既にいらっしゃり、また、他の参加者の皆さんも何人か集まっていて、正直、緊張でいっぱいでした。 定刻になり、尺八の参加者9名と講師の先生3名とで、講習開始です。米澤先生の指導で、『邦楽器のためのコンポジション』から練習が始まりました。音の出し方・消し方、フレーズの考え方、アタック方法など、事細かに指導して頂き、あっという間に2時間が経過していました。

 昼食後、合奏講習が、作曲者の秋岸先生同席の上、稲田先生の指導で始まりました。各セッションの注意点、全体の曲の中でのパートの強弱、表現のあり方など、真剣且つ熱心なご指導を頂きました。合奏の難しさ・面白さが、指揮して頂く事で伝わってきました。4時間の合奏講習が瞬く間に過ぎており、緊張の中で始まった初日の講習が、素晴らしい合奏で終わりを迎えました。

 初日の締めくくり、集団の皆様のミニコンサートは、それは見事で、我々参加者だけで聴くのが勿体無いくらいの演奏でした。普段の演奏会では聴くことの出来ない曲を何曲も披露して頂き、1日の緊張が一気に解きほぐされる感じがしました。その後の親睦会では、参加者の皆さんの顔も和らいで、楽しいひと時を過ごしました。
 続いて懇親会。実は今回の一番の楽しみがこれでした。団員の方、参加者ともに、お酒も入り、あちらこちらで話の花が咲いていました。私自身も、色々とお話をさせて頂き、今まで知らなかった事を、随分教えて頂きました。3時間弱の懇親会も終わり、明日に備えて帰途に着きました。

 2日目、この日は長沢勝俊作、『秋の一日』でした。前日に引き続き、米沢先生にご指導頂き、「えっ!そんなこと知らなかった!」という事が次から次へと出てきて、メモ、メモ、またメモの連続でした。「いっぱい宿題を持って帰ってくださいね。」の、お言葉通り、本当に宿題が多く、家に帰ってからは調べることがたくさん有り、勉強をさせてもらっています。
 午後からは田村先生の指揮で、合奏練習が始まりました。1つの曲でも、演奏方法、曲の解釈の仕方、指揮者の表現したいこと、演奏者の表現力次第で、色んな表現があるのだと感心して講習を受けていました。
 最後に宮越先生のナレーション入りで通しの演奏を行いました。途中で涙が零れてきて、譜面が見えなくなってくる自分に驚きました。
 この日のミニコンサートも聴き応えのある秀逸物でした。尺八のフォルクローレが今でも耳に残っています。

 2日間、講習会に参加して感じたことは、団員の方々の本当に熱心で献身的な姿でした。プロ中のプロの先生方に手取り足取りご指導頂き、また、裏方までして頂き、本当に感激しました。参加する前のあの異常な緊張感は余分なものだったなと感じました。

 音楽集団の皆様、本当にありがとうございました。今後、益々のご活躍を心から応援しております。

愛知県 近藤和博


2009年度・日本音楽集団夏期合奏講習会に参加して

 私はアマチュアの現代邦楽合奏団で打楽器を担当している。奏者が3人いるため、自然に各自得意なものをやることとなり、気づいてみれば、小鼓と大太鼓ばかりやってきた。生来不器用なこともあり、日本音楽集団の曲に特徴的な、いくつもの太鼓や小物類をずらりと並べて華麗に打つということにはなかなか手を出せずにいた。合奏団としては大曲・難曲をいくつもやっているのだが、自分の演奏するパートは、音色が重要でリズムはあまり複雑ではない場合が多い。小鼓は好きだし、忙しいのは苦手だし、このことになんの不満もなかった。
 でも、一方で「複雑華麗なパートもちょっとやってみたい」という気持ちもあったので、3年前、日本音楽集団が講習会を始めると知って飛びついた。

 以来、毎年参加している。
 私にとって、この講習会の一番の魅力は午前中のパート練習だ。
 集団の事務所地下にある練習室で、まわりを気にせず思いきり打つ事ができる。打楽器は音量が大きいので、ちゃんとした楽器を使ってしっかり音を出して練習できる場所がなかなか見つからない。だから、「音を出せる」ことが、ほんとうに嬉しい。
 そして、苦手なところ、できないところを、二人の先生が集中的にレッスンしてくださる。これはなんとも贅沢な時間。

 講師の尾崎先生と多田先生は、楽器や曲にあわせたばちの選び方、ばちの持ち方から、さまざまな打ち方と音色の違い、リズムの感じ方、すばやくばち変えする方法、鈴などを置く際に不要な音を出さないこつなどなど、実演を交え、懇切丁寧に、惜しみなく教えてくださる。

 午後は神田の会場に移動して合奏練習。指揮をされる先生によって表現や振り方、指摘ポイントが違うのがおもしろい。作曲をされた先生のお話を直接うかがえるのもありがたい。
 それにしても、どうしてあんなに緊張してしまうのだろう。午前中の練習の成果を十分に発揮・・・というわけにはとてもいかない。とくに、「はい、一人ずつ打って」といわれると、心臓ばくばく、息が詰まりそうになり、出てくる音はよれよれ。情けない。でも、緊張する状況に慣れるというのは大事なことかもしれない。自分の弱点がよくわかる。
 合奏の間も、講師の先生方は注意深く見守ってらして、なぜうまくいかないか、どうしたらいいのか、アドヴァイスしてくださる。

 合奏練習の始めの時に比べると、最後の通しの合奏の時は、だいぶよくなっていると自分でも思う。他のパートも、あきらかに格段によくなっている。短い時間に、不思議なほど。
 指揮の力を感じる。

 ミニコンサートでは、定期では出会わないタイプの曲を、アルコール片手にくつろいで、至近距離で聞くことができる。その後の懇親会や打ち上げでは、各地で合奏を楽しんでらっしゃる方々とお知り合いになれるのが楽しい。ずいぶん遠いところからいらしているのに感心したりする。また、音楽集団の団員の方々の素顔にも触れることができる。

 暑いさなかに、まったくのボランティアで、これだけ内容の濃い講習会を準備し、みっちりと指導し、すてきな演奏を聞かせ、打ち上げでも最後まで気配りをしてくださる音楽集団の方々には、ただ感謝の言葉しかない。

 今年もありがとうございました。
 来年も、どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤美好(東京都在住)


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